2011/08/05

阪神淡路と東日本大震災に見るインターネット共通の課題


普段ならゴミ箱行きのメルマガですが、気になったので読んでみたら興味深かったので転載させていただきました。


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阪神淡路と東日本大震災に見るインターネット共通の課題
新刊書籍『インターネット白書2011
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  729日に発売した財団法人インターネット協会監修による年鑑『インターネット
  白書2011』。第1号は1996年に発行し、おかげさまで16年目を迎えた。
 
  最初の96年版では、前年に起こった阪神淡路大震災でインターネットが利用され、
  情報ボランティアという言葉が生まれたことを記している。この頃の日本のインタ
  ーネット利用者数は、おそらく今の国内Facebookコミュニティーよりやや少ないぐ
  らいの規模であったと思われる。常時接続できる回線は高価で、情報を発信できた
  のはWWWサーバーを運用していた大学関係者や研究者たち、ニフティや地域BBS
  パソコン通信を使っていた人などまだ限られていた。
 
  そんな中でも96年版の記事には、「大学のWWWサーバーによる被災地からの情報発
  信」、「報道メディアが発した死亡者リストのオンライン化」、「メーリングリス
  トによる支援活動の情報交換」が紹介されており、インターネットを通じた情報支
  援活動がすでに行われていたことがわかる。
 
  10年以上の時を経た今年、最新刊の『インターネット白書2011』には、以下のよう
  に東日本大震災に際して行われた様々な取り組みやユーザーの動きを60ページ以上
  にわたって掲載している。
 
  1)首都圏の帰宅難民の交通情報収集や安否確認にTwitterが利用された。
  2)グーグル パーソンファインダーが発災後、約2時間で立ち上げられた。
   (3) 避難所の救援物資ニーズに対してアマゾンのほしいものリストが機能した。
  4)広島の中学生がNHKのニュース映像をUstreamで配信したのをきっかけに、テ
       レビ局がインターネットでのライブ配信をスタートした。
  5)原発事故の影響の大きさは、日本のマスメディアより早く海外メディアが報
       じ、インターネットで確認できた。
 
  個人が携帯電話やスマートフォンで気軽に情報を発信できるようになり、支援活動
  や情報ニーズも多様化した。これは16年前には予測できなかったことだろう。
 
  しかし、96年版と2011年版には、まったく同じ1つの視点が寄せられている。それ
  は、「被災者には直接あまり役に立たなかった」という関係者の言葉である。
 
  支援したい、支援がほしいという同じ目的を持つ人を広域にダイナミックに結びつ
  けることができるのがインターネットのメリットだが、本当に必要としている被災者
  に確実に情報を整理して届けるための仕組みは、まだ整っていない。
 
  阪神淡路で直面した情報支援の壁は、通信インフラが普及した2011年の今でも、同
  じように立ちはだかっており、インターネットが普及した今こそ、取り組むべき
  大きな課題である。
 
  『インターネット白書2011』(CD-ROMに本文全文PDF収録)

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